LaTeX を使う方法

\(\LaTeX\) を使う方法

\(\LaTeX\) で文書を書くには,大きく次の2つの方法がある.

  • \(\TeX\) をインストールし,ローカルに環境構築をする.
  • オンラインツールを使用する.

ローカルに環境構築をする場合,

  • オフラインでも使用可能である.
  • 使えるツールなどの制約が少ない.
  • カスタマイズ性が高く,より自分好みにできる.

といったメリットがある.一方,

  • 環境構築がめんどうであり,PC初心者にはとっつきづらい.
  • TeX Live のインストールには,少なくとも 3GB くらいが必要になる.

といったデメリットもある.

オンラインツールを使用する場合,

  • 環境構築が不要で手軽に使い始められる.
  • PC の容量を取られない.

といったメリットがある一方で,

  • オフラインでは使用できない.
  • 使えるツールなどに制約が生じる.
  • いつサービスが変更になるか分からない.

といったデメリットがある.

どちらが良いか自分に合っているものを選択するべきである.

ローカルに環境構築をする場合

ローカルに環境構築をする場合,使用する TeX ディストリビューションと総合環境またはエディターを選択する必要がある.

TeX ディストリビューション

TeX ディストリビューションとは,TeX の処理をするプログラム等の集合体のことである.

TeX ディストリビューションには次のような種類がある.

  • TeX Live
    • 国際的に利用されている,巨大なパッケージ群を持つディストリビューション.
    • Windows, macOS, Linux で利用可能
  • W32TeX
    • 角藤亮さんが作成したディストリビューション.ベースは TeX Live.
    • Windows で利用可能
  • MacTeX
    • MacOS 用に,TeX Live をベースに作成されたディストリビューション.
    • macOS で利用可能

本サイトでは TeX Live の使用を全体として解説をする.

TeX Live のインストール方法はこちら

TeX Live のインストール [Windows10]

エディターまたは総合環境

TeX ディストリビューションを選択したら,\(\LaTeX\) を記述するエディターもしくは総合環境を選択する必要がある.

基本的に自分好みのものにすれば問題なく,別に Windows 標準のメモ帳でも書けないことはない.

ここでは,TeXworks, TeXstudio, VScode を用いる場合を紹介する.
それ以外のエディターを利用する場合は,TeX wiki が参考になる.

TeXworks

TeXworks は,TeX Live, W32TeX に入っている統合環境である.
シンプルで余計な機能は入っておらず,軽い.
また,エディターを使いやすくカスタマイズできる部分は限られており,できたとしても面倒なことが多い.
補完機能は一応あるが,使いやすくはない.

TeXstudio

TeXstudio は,高機能な \(\LaTeX\) の統合環境である.
めんどくさい設定をあまりせずに利用でき,楽に導入が可能.
自動補完,platex → pbibtex → platex → platex を自動でやってくれる,表などの \(\LaTeX\) 編集用機能のように嬉しい機能が色々ある.
カスタマイズ性はほどほどといったところ.

TeXstudio のインストール方法はこちら

TeXstudio のインストールと設定

VScode

テキストエディタ Visual Studio Code に,拡張機能 LaTeX Workshop を導入し,環境構築する方法.
VScode の拡張機能を使うことで,カスタマイズがいくらでも可能である.
コンパイルは,latexmk を使用すれば一発ででき,保存で自動コンパイルも可能である.
補完は勿論,マウスホバーで数式プレビューもできる.
設定は,それなりに面倒で,PC の扱いに慣れている人向けである.

環境構築方法はこちら

VScode を使った LaTeX 環境を構築する

オンラインツールを使用する場合

オンラインツールを使用する場合,有名なものに

  • Cloud LaTeX
  • Overleaf

がある.

ここではこれらのそれぞれの特徴について解説する.

Cloud LaTeX

Cloud LaTeX は,株式会社アカリクが提供するWebサービスである.
利用には,会員登録が必要となる(無料).
日本の会社のサービスなので,platex にはデフォルトで対応している.
プロジェクト数999まで,容量1GB まで保存ができる.


機能としては,Dropbox 連携,エディタテーマ・キーバインド設定,自動保存,自動コンパイル設定,補完などがある.

仕様により,.gitフォルダが配置できないので,Git は使用できない.
(もしくは Cloud LaTeX のフォルダ全体を Git レポジトリとする荒業をとる必要がある.)


VScode との連携機能もあるが,これをするならばローカルで環境構築をすればいいように思える.

Cloud LaTeX のサイトはこちら

Cloud LaTeX https://cloudlatex.io/ja

Overleaf

Overleaf は,Writelatex Limited により運営される英国発の Web サービスである.
利用には,会員登録が必要となる(無料,有料プランもある).
platex にも対応しているが,若干の操作が必要となる.
1人に付き50MB までアップロード可能で,プロジェクト数は無制限である.

機能としては,エディタテーマ・キーバインド設定,自動保存,自動コンパイル設定,補完などがある.
有料版ではさらに,Dropbox連携,Git ・ GitHub 連携,チャットなどもできる共同編集機能が使えるようになる.

有料版は一番安いプランで $10/月である.

Overleaf についてはこちら

Overleaf を試しに使ってみた

比較

無料版の Overleaf は Dropbox の連携ができないことから,無料で使いたいならば Cloud LaTeX の方が便利である.

一方,有料でも構わないならば,Git なども使用できる Overleaf の方が高機能で便利である.

参考文献